なんか忙しくて書きたいネタ沢山あるんですけど全然書けなくてストレスMaxなんですがそんなこたぁどーでもいいですね、ハイ。
別項で書きますがオーソン・スコット・カードの「無伴奏ソナタ」の新訳本読んでまして(いや、本読む暇はあるんだというツッコミ無しよw)流れでちょっと思いついたので忘れないうちにさくっとあげときます。
最近話題の(w)バレエとフィギュアスケートについて。
昔東京都北区田端に「die pratze」(ディ・プラッツ)という小さな芝居小屋がありまして。…で、関係ないけど今もあんのかなぁと見たら神楽坂に引っ越ししてその神楽坂die pratzeも閉鎖したとネットに出ててびっくり。いやー。時の流れって残酷ですな。ということで今はもう存在しない小屋の昔語りから始まります。
前に書いた記事キム・ヨナの“クネクネアッハン”についての一考察に出てくるアングラ系ダンサーの友人がそこで公演を演るというので行って来ました。凄く小さくて暗くて地下系の匂いがプンプンする小劇場です。何度か来たことありますがダンスの公演は初めて。中は狭く、舞台も小さく、椅子の客席もありません。桟敷だけ。とはいえ桟敷のみの劇場って珍しくなくて、舞台と近いんで私はおっきいとこよりそういう小さい小屋の方が好みでした。
こんな狭いとこでダンスってどうやって踊るんだろ?と思って中に入って驚いた。客席がありません。あるのは舞台だけ。いや、舞台といっても劇場いっぱいに工事現場でよくある足場を複雑に組んであるだけです。銀色のパイプと銀色の板状のものと階段を組み合わせているだけ。そこにスモークを焚きしめて赤や青のでかいライトの光を何本か当ててあります。廃墟というか巨大なジャングルジムというか。
???となった私は慌てて手元のチラシとパンフを見ると「客席はありません。思い思いの場所でダンサーのパフォーマンスをお楽しみください」と書いてあります。え?でも踊るスペースだってそんなにあるようには見えないんだけど…そしてよく見ると注意書に「ダンサーと接触する場合があります」みたいなこと書いてあります。えーまじで。とか一緒にいった子と話してると公演が始まる時間となり場内暗転、会場は闇に包まれます。
ドカーンと音楽が大音量でかかると、暗闇の中からガシャンガシャンという足音が聞こえてきて。パッ!と照明が辺りを照らすとげーーー!すぐ側にダンサーいるじゃん!!!げげ。あんまりたむろする場所がないので、一緒に行った友人とはすぐ離れました。だって数人で固まってると邪魔なんだもん。
曲はなんだろう?不協和音ガンガンでジャンルはよくわかんないです。兎に角破壊的な感じの曲と明かりでいかにもアンダーグラウンド。無事に帰れるんだろうかとちょっと不安になったら案の定。邪魔だから端っこに寄ろうと骨組みに身を寄せようとしたらダンサーの1人とバッティングしちゃって後ろから両足でカニバサミされました。ひえーーーー!
遠くで友達が指さして笑ってるの見えたけど、ダンサーはガチだったのでこちらは笑うわけには行かないんですよ。もう…いっその事参加して体動かしたら良かったんでしょうけど固まりましたね。
それからはちょっと余裕が出来たんで、装置を歩きまわってパフォーマンスを上から覗いたり横から眺めたりと一応いろいろ楽しみました。聴いたことないジャンルの音楽だったけど、照明とスモークと、(多分ワザと)ガシャガシャと大きな音を鳴らして踊る、或いはひたすら静止しているダンサーはそれなりにカッコ良かったです。基本1人で踊ってるんですけど、ダンサー同士が鉢合わせるとバトルみたいにしてお互い煽りながら動くんですよね。かと思うとぱっと身を翻して別々の方向に行ったり。その繰り返し。
観客って何時も舞台の下の明確に分けられた客席でアクターを観てる訳ですから、その一線を取っ払って場の一部になるっていうのも面白い試みでした。まぁあとでその友人ダンサーに「オマエ邪魔なんだよ」と怒られたのもいい思い出w
そうかと思うと今度は別の知人にガチガチのモダンに出るから、とある公演に誘われました。文化庁推奨みたいな断りがついてるやつ。劇場っつーより巨大な「会館」でやる公演です。席はもちろんふかふかの椅子。なんでも賞をもらって補助金出てる団体ばっかりのオムニバス。
モダンですから皆さん基礎はクラッシックですわな。オムニバスだったので(ていうかこういうのはガラっつったほーがいいの?)ガチのクラッシックの演目もあったと思います。ジゼルだったっけな?ちょっと忘れたけど。
で、友人は何をしていたのかというと、ある演目で舞台の隅っこで横座りしてひたすらトランプでピラミッド作ってました。繰り返し。その傍らでダンサーが踊ってます。勿論踊ってるから振動があるわけで、ある程度の高さになるとトランプは崩れ、また一から組み直し、また崩れ、の繰り返し。
セットはないです。白、又は青のライト。複数いる男女ののダンサーは薄物をまとっているだけ。多分白の衣装。ずっと観ていると「砂上の楼閣」そんな言葉が浮かぶ。
いや、その知人って山口小夜子にそっくりなんですよね。信じられないくらい色白で顔が小さく首が細く。小柄で華奢。白く長いその指で、カードを嬲る。時に絡み合い、バラバラになりながら踊るダンサーたちは彼女が操るカード?…ただただ綺麗でした。呪いにより異国の塔に閉じ込められた高貴な娘の孤独なひとり遊び。そんなイメージがふと浮かぶ。いや、そんな話じゃないと思うんですけど、勝手にw
当時は小劇場ブームっていっても一段落していて、普通の(?)芝居の他にダンス・パフォーマンス集団が出てきててもうカオスでした。こんなんもアリなの?ってのもあったし。当時好きでよく観に行ってた第三舞台は芝居だけど突然ダンス始まったりするし。勿論ミュージカルも観ました。小島章司のフラメンコも観たし少年隊のPLAYZONEもショーダンスとして凄かった。
芝居だのダンスだのジャンルがどうこうじゃなくって、兎に角己の肉体を使ったパフォーマンスを観せようとなんでもアリアリな状態で観たい公演が目白押し。私なんかもう全然ついていけませんでしたよ。いや、批評するにもこちらの知力体力がいるんですね、実際。
舞台いっぱいのダンサーが蛍光灯を持ってひたすら陣形を組み替えながら移動するという公演を観たことが有ります。ミニマムだのネストだの、理論的に説明してもらったんですが私にはさっぱり。彼らは当時かなり評価されてましたが、ええ、「バレエ的」な動きは一切ありませんでしたよ。
彼らへの批評はその表現自体に対する評価であって決して『「バレエ的」ではない』という的外れなものはありませんでした。もちろん舞台の上できちんと【立つ】上での基礎は必要で、それを疎かにしているダンサーはいない筈ですが。
ストリートプレイを観て『「バレエ的」ではない』と批評する馬鹿はいないでしょう。フィギュアスケートもそれと同じこと。静止画を切り取って「これはバレエ的だ」「これはバレエ的ではない」と大喜びで画像を拡散している人たちがいますが、もの知らずだと世間に喧伝しているだけなのでやめたほうがよろしいでしょうね。
クラッシックもあればモダンもミュージカルもある。芝居もあれば暗黒舞踏も能も歌舞伎も。私が「舞台」に魅了されるのはそこで繰り広げられる精神と肉体を駆使した渾身のパフォーマンスを目撃したいからです。
私は競技としてのフィギュアスケートに「氷上のバレエ」も「氷上のミュージカル」も求めていません。それは最初から別々のものです。