訃報。

ガルシア=マルケス死す。

第一報はTwitterのタイムラインで。そうか。死去、ということはこの巨人は今まで存在していたのか。寓話の主が実在していたかのような不思議な気持ち。作者ですら物語の一部だとの錯覚。それくらい、私にとっては既に伝説の中の人だった。

***

ひとんちに行くと書棚で本やCDを探す癖があって、それは彼の人の本棚にもあった。何十冊も並んでいる文庫の背表紙からそれをすぐ見つけたのは、私も同じ本を持っていたから。梶井の全集と『エレンディラ』。

***

私の田舎にはめぼしい本屋はなかったので、東京で一人暮らしを初めてからは日課のように近所の本屋をはしごした。その中でも、一番最初に大学の最寄り駅に降り立って入ったビルの本屋でその背表紙を見つけ、何気なく手に取り、表紙の奇妙な植物と題名に釣られて即買ったのがこの本『エレンディラ』。

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田舎の高校生だった私にとって文学とは仏・独・露にしかなく、物語とは図書館に並んでいる重くて丈夫な全集だった。中南米?コロンビア?そんな土地知らない。そんな物語は知らない。

『無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語』

***

嫁ぎ先の彼の書棚にもガルシア=マルケスはあった。『予告された殺人の記録』。

「ガルシア=マルケス死んだんだって」

「死んだも何も、書かなくなって何年だよ?もう死んでるんだよ」

***

『予告された殺人の記録』はゴドー待ちだと旦那は言った。じゃあ『エレンディラ』は?

どちらか読み返したいと手近な本棚を漁ったけれど、どこかにしまいこんだらしく見つからなかった。

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最初に読んだ時、エレンディラってラプンツェルみたいだ、と思った。

単純明快な共通点。檻に捉えられ搾取されるか弱きもの。

でもエレンディラはラプンツェルのようなディズニーのヒロインにはなれないだろう。なれる訳ない。

***

結局作家の死は殆ど重要ではないのだ。普通魂は天に昇るのだが、作家の魂は作品に葬られるのだから。

そして今日も予告された殺人は実行され、無垢なエレンディラは春をひさぐ。

 

20140419

 

 

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  1. mk5go 2014.04.19 8:04am

    深夜に書いたエントリーは朝読むと汗が出てくるな。

    • テヒ 2014.04.20 1:56pm

      私の場合『エレンディラ』はあるのですが『百年の孤独』がいつのまにかどこかへ。
      どこに行ったのか。

      最近このようなことが増えて真夜中に背表紙の書名をぎーっと睨みつけることしばしばです。

      探しているものに限ってない……。

      • mk5go 2014.04.23 12:33pm

        そうなんですよねーー!欲しい時に探してもないんですよね。で、とんでもない頃見つけるの。『百年の孤独』も持っていた気がするんだけどやっぱりない(^_^;)

        片付けろ、ってことですね。あははは~

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